2015年4月26日日曜日

「海外投資には為替リスクがあります」のウソ


  • あえて,新書風に刺激的なタイトルをつけてみましたが。

  • 海外投資に為替リスクがあるだろうことは否定しない。問題は「には」の部分で,ここには「国内投資に為替リスクはないが,海外投資には為替リスクがある」という意味が込められている。

  • 私が問題にしたいのは,この「国内投資に為替リスクはない」という部分。これは正しいだろうか。

  • 「国内投資に為替リスクはない」という発想になるのは,為替レートがいかに変動しようが日本円の価値は固定していて動かないと考えるためだろう。

  • 確かに,日本円で300万円を持っている場合,ドル円レートが1ドル75円であっても120円であっても,300万円は300万円であって数字上の変化はない。

  • しかし,これは一面的なものの見方ではなかろうか。日本円の価値も固定したものではなく,数字上の変化はなかったとしても,為替レートの変動に伴って日々変動しているとみるべきだろう。

  • 外貨に換算をしてみればよく分かる。前述の300万円は1ドル75円のときは4万ドル(300万÷75)であるが,1ドル120円のときは2万5000ドル(300万÷120)で,その差は約40パーセント。この差は無視をしてよいものなのだろうか。

  • 日本国内にいて日本円で生活をしているから,米ドルは関係ないということにはならない。なぜなら,国際的な商品の価格は米ドルで決められており,円安は物価高になって跳ね返ってくるはずだから。

  • こんな例え話はどうだろうか。国際的には,100万ドル以上の資産を持っている人を富裕層と言うらしい。

  • それぞれ7500万円の資産を持っているAさんとBさんがいたとする。ドル円レートが1ドル75円だったとき,AさんとBさんはいずれも100万ドル(7500万円÷75円)の資産を持つ富裕層だった。

  • Aさんはこの7500万円を日本円のまま預金したが,Bさんは100万ドルの外貨預金にした。

  • その後,円安が進んで1ドル120円となったが,Bさんは依然として100万ドルの資産を持つ富裕層だった。

  • しかし,Aさんの資産は62万5000ドル(7500万円÷120円)となり,富裕層から転落してしまった。

  • 果たして,為替リスクがあるのは円預金であろうか,外貨預金であろうか。