2016年10月4日火曜日

暗号通貨ポートフォリオのその後


  • 暗号通貨ポートフォリオを作成して3か月が経過したので,9月末時点の状況をまとめてみた。まずビットコイン建ての価格変動は以下の通り。ちなみに1BTCは,ポートフォリオ作成時は691.6ドルだったが,9月末時点では605.0ドルとなっている。


  • 通貨FP作成時28年9月末騰落率
    1Monero (XMR)0.00181413 BTC0.01414000 BTC+679.4 %
    2Factom (FCT)0.00154437 BTC0.00474686 BTC+207.3 %
    3Ripple (XRP)0.00000980 BTC0.00001475 BTC+50.5 %
    4Syscoin (SYS)0.00001137 BTC0.00001576 BTC+38.6 %
    5Ethereum (ETH)0.01611265 BTC0.02202600 BTC+36.7 %
    6Bitcoin (BTC)1 BTC1 BTC0 %
    7Obits (OBITS)0.00017776 BTC0.00016119 BTC-9.3 %
    8NEM (XEM)0.00000811 BTC0.00000725 BTC-10.6 %
    9Siacoin (SC)0.00000091 BTC0.00000079 BTC-13.1 %
    10Lisk (LSK)0.00065188 BTC0.00038911 BTC-40.3 %


  • 一方で,リバランスにより保有数量は次のように変動している。


  • 通貨FP作成時28年9月末増減率
    1Monero (XMR)4,700 XMR2,100 XMR-55.3 %
    2Factom (FCT)5,600 FCT3,500 FCT-37.5 %
    3Ripple (XRP)957,000 XRP1,350,000 XRP+41.0 %
    4Syscoin (SYS)740,000 SYS795,000 SYS+7.4 %
    5Ethereum (ETH)560 ETH715 ETH+27.6 %
    6Bitcoin (BTC)8.3333 BTC14.7000 BTC+76.4 %
    7Obits (OBITS)45,000 OBITS84,500 OBITS+87.7 %
    8NEM (XEM)1,010,000 XEM1,740,000 XEM+72.2 %
    9Siacoin (SC)9,300,000 SC14,800,000 SC+59.1 %
    10Lisk (LSK)13,800 LSK34,300 LSK+148.5 %


  • この結果,ポートフォリオは次のような状態となっており,ビットコイン建てで合計160.4721BTC。1BTC=6万1304円とすると,円建てでは合計983万7685円。


  • 通貨単価数量評価額
    1Monero (XMR)0.01414000 BTC2,100 XMR29.6940 BTC
    2Factom (FCT)0.00474686 BTC3,500 FCT16.6140 BTC
    3Ripple (XRP)0.00001475 BTC1,350,000 XRP19.9125 BTC
    4Syscoin (SYS)0.00001576 BTC795,000 SYS12.5292 BTC
    5Ethereum (ETH)0.02202600 BTC715 ETH15.7485 BTC
    6Bitcoin (BTC)1 BTC14.7000 BTC14.7000 BTC
    7Obits (OBITS)0.00016119 BTC84,500 OBITS13.6205 BTC
    8NEM (XEM)0.00000725 BTC1,740,000 XEM12.6150 BTC
    9Siacoin (SC)0.00000079 BTC14,800,000 SC11.6920 BTC
    10Lisk (LSK)0.00038911 BTC34,300 LSK13.3464 BTC


  • ちなみに,それぞれの通貨の今後の見通しについて私の考えは以下の通り。画像はいずれも9月30日時点の日足チャートだが,この記事を準備しているうちにけっこう動いてしまっているので,チャート分析は後講釈ぎみになっている。

  • 基本的に,「高値の切上げ,安値の切上げ」が続けば上昇相場(強気),「高値の切下げ,安値の切下げ」が続けば下落相場(弱気)と判断している。まあ,トートロジーみたいだけど。

  • 短期売買をするわけではないので,見ているのは日足と4時間足だけで,それよりも細かいチャートはほとんど見ていない。本当は週足と月足も見たいのだけれど,POLONIEXに表示する機能がない。


  • XMRは9月3日に上場来高値を付けた後に下落し,高値(0.019付近)と安値(0.014付近)を1回ずつ作っている。

  • この状態から0.019付近を再度上回ってくれば強気と判断できたが,逆に直近で0.014付近を下まわってしまっている。これはいわゆる「ダブルトップ」が完成した状態なので,今後の見通しは「弱気」。


  • FCTは7月17日に年初来安値を付けた後に下値の切り上げが続いている。このようなチャートは「なべ底型」などと呼ばれていて強気と判断できる。

  • ただし直近で支持線を割っているように見えるのが気がかり。9月4日の安値(0.0038付近)も割り込むとダブルトップ完成で弱気と判断せざる得ない。今後の見通しは「中立」。


  • XRPも6月13日に年初来安値を付けた後,下値の切り上げが続いていて強気と判断。長めの上ひげが何度か出ていることにも上昇の可能性を感じる。

  • ひげが長いせいできれいな線を引くことができないが,0.0000115~0.0000130付近に抵抗線があり,これを超えたので上昇に弾みがついたのでは。今後の見通しは「強気」。


  • SYSは5月28日に安値を付けた後,下値の切り上げが続いていて悪くない感じ。しかし,3月1日の高値(0.0000275付近)を超えてこないと強気とは判断できずハードル高め。

  • 直近で支持線を割っているように見えることも気がかり。ダブルトップもあるね。今後の見通しは「中立」。パフォーマンスはそこそこなのだが,出来高が少ないのですべて処分してしまうかもしれない。


  • ETHは6月18日にネックラインを割ってダブルトップ完成だったが,そこから切り返して「だまし」となっている。ここは注目に値するポイント。これで底打ちだったろう。

  • 以後は下値の切り上げが続いていて底堅い。0.023付近の抵抗線を突破すれば強気と判断できるが,時間の問題だろう。今後の見通しは「強気」。


  • BTCは6月17日に年初来高値(780ドル付近)を付けた後,8月2日に645付近まで下落し,その後はやや持ち直している。ここから下落するイメージはないが,上昇するにもパワー不足でしばらく横ばいとみる。

  • 以前と同様に,6か月くらいの長期の三角保ち合い(上値を切下げ,下値を切り上げる状態)となってパワーをため,煮詰まりきったところで上にブレイクするのでは。660ドル付近まで上昇すれば強気と判断できる。今後の見通しは「中立」。


  • OBITSの前にBTSについて。6月17日に安値を付けた後,下値切上げが続いていて悪くない感じだった。8月29日に抵抗線を突破し,本格的な上昇開始かと思いきや,逆に下落して「だまし」になってしまっている。

  • その後に支持線も割り込み,いったん奪還に向かって失敗しているのも印象が悪い。今後の見通しは「やや弱気」。

  • OBITSは,コンセプトは嫌いではないのだが,出来高が危機的に少なくて全くお勧めできない。配当方法を変更するかどうかの投票をやっているが,現在の方法が機能しているとは言えず,おそらく変更されるのではないか。


  • XEMは,6月28日に年初来高値をつけた後に下落し,安値(0.000008付近)と高値(0.000012付近)を1回ずつ作っている。

  • この状態から0.000012付近を再度上回ってくれば「二番底確認」で強気と判断できたが,逆に直近で0.000008付近を下まわってダブルトップ完成。今後の見通しは「弱気」。


  • SCは6月28日に年初来高値を付けた後に下落。9月7日に安値(0.0000007付近)を付けた後に急反発しているが,高値を維持できておらず強気に転じたとは評価できない。

  • 7月15日の高値(0.0000012付近)を超えないと強気とは判断できないだろうがハードル高め。逆に0.0000007付近を再度下まわると,下げ止まっていないことになり弱気と判断せざるを得ない。今後の見通しは「やや弱気」。


  • LSKは上場後に長期低迷中だが,意図的に買い集めている。8月1日に上場来安値(0.0003付近)を付け,その後は若干反発して横ばい。

  • 0.0003付近を再度下まわってくれば弱気。0.0005付近の抵抗線を突破してくれば「二番底確認」で強気だが,まだ時間がかかりそう。今後の見通しは「中立」。

2016年9月16日金曜日

Factomのペーパーウォレットを復元する方法


  • Factomのペーパーウォレットを復元するにも,まず公式デスクトップウォレットを利用可能な状態にする必要がある。ダウンロードはこちらから。

  • 公式ウォレットをインストールしたら,まずブロックチェーンをダウンロードしてデータを同期する。ブロックチェーンの同期には factomd.exe を使用し,ダブルクリックで起動して放置しておく。


  • ブロックチェーンの同期が完全でないと,ウォレットに残高が表示されなかったり送金できなかったりで混乱の元になるので,例によって時間はかかるが,ウォレットをいじるまえに同期を完了させてしまった方がよいと思う。

  • ただし,Factomはユーザーフレンドリーなため,factomd.exe の画面を見ていても同期が完了したかどうかは分からない。

  • ダウンロードされたデータは C:\Users\(ユーザー名)\.factom\ldb に保存され,同期中はファイルが増え続けるので,このフォルダを確認してファイルが増えなくなったら同期が完了したということなんだろう,たぶん。


  • なお,ブロックチェーンのデータファイルは拡張子が .ldb であるため,Microsoft Access がインストールされている環境では,上の画面のようにそれに関連づけられてしまうが,おそらく偶然の一致で何の関係もないと思われる。


  • ブロックチェーンの同期が完了したらウォレットを起動させる。ウォレットは walletapp.exe でこれをダブルクリックで起動させると,ブラウザベースのウォレットが立ち上がる。ウォレットを操作する際には factomd.exe もいっしょに起動させておく必要がある。


  • ウォレットを起動できれば,ペーパーウォレットのインポートは簡単で,画面下部の鍵のマークをクリックして,プライベートキーを入力し,ウォレットの名称を決めるだけ。

  • ちなみに,FACTOMの送金方法について詳細は割愛するが,トランザクション( Transaction )を作成し,署名( Sign )をして,送信( Send )するという流れになる模様。

  • Inputs が送金元,Outputs が送金先。+FEE をクリックすると送金額に手数料が加算される。てきとうにいじってみれば送金はできるのでは。

  • さて,ここまではわりと順調なのだが,ウォレットの不具合は factomd.exe を終了させ,次に起動させたときに発生する。

  • factomd.exe を起動させてしばらくすると,画面に文字がずらずらと流れて,問答無用で終了してしまう。

  • 意味が分からないので,ちょっと工夫をしてずらずら流れる文字を確認してみると,fatal error という表示がでており,エラーのために factomd.exe が強制終了している模様。


  • どうも,ブロックチェーンの同期が完了した後に factomd.exe を終了させると,次に起動する際にこのようなエラーが発生するらしい。

  • このエラーを回避するには,C:\Users\(ユーザー名)\.factom\ldb のフォルダの中身を空にする必要がある。要するに,ブロックチェーンのダウンロードを一からやり直さなければならない。

  • 非常に面倒くさいので何とかしてほしい。というか,公式ウォレットにエラーがあるとかどうなのだろうか。

2016年9月13日火曜日

Factomのペーパーウォレットを作成する方法


  • 暗号通貨の保存というと,プライベートキーの盗難をいかに防ぐかという観点から議論がされていることが多いように思うが,私は盗難よりもむしろ紛失,忘却のリスクの方がよほど大きいように思うのだが。

  • いずれにせよ,プライベートキーの盗難なり紛失,忘却なりを防ぐには,物理的な媒体に記録して,しかるべき場所に保管しておくというのがベストではないだろうか。

  • ペーパーウォレット自体が盗まれる可能性もないではないだろうが,少なくとも当面は,窃盗犯人になるような人が暗号通貨に関する知識を持ち合わせているとは考えにくく,仮に盗まれたとしても使い方が分からないのではないだろうか。

  • さて,困ったちゃんのFactomだが,ペーパーウォレットを作成する際には factoidpapermill.exe というソフトを使用する。factoidpapermill.exe はこちらからダウンロードする。

  • これはパブリックアドレスとプライベートキーを生成するだけのソフトで,ダブルクリックでも起動できるが,ダブルクリックで起動した場合には一瞬で終了してしまって,画面上で結果を確認できないのでコマンドプロンプトから起動する。


  • コマンドプロンプトを起動させた上で,factoidpapermill.exe が C:\factom の中にある場合には次のようにコマンド入力をする。factoidpapermill.exe をコマンドプロンプトのウィンドウにドラッグアンドドロップしてもよい。

  • C:\factom\factoidpapermill.exe


  • また結果をテキストファイルに書き出すには次のようにコマンド入力する。生成されたプライベートキーなどが factom.txt に書き出される。

  • C:\factom\factoidpapermill.exe >factom.txt


  • あとは二次元バーコードを作成し,画像なりを適当にレイアウトして印刷すれば,ペーパーウォレットが完成する。

  • ただし,Factomをペーパーウォレットに送金するのはそれなりの覚悟が必要なように思う。というのは,復元に使用する公式デスクトップウォレットに不具合があるらしく,かなり心もとないため。

  • さすがに永久に取り出せなくなることはないだろうが,最悪は公式ウォレットの不具合が修正されるまで取り出せなくなるなんてこともありうるかもしれない。


2016年9月11日日曜日

Moneroのペーパーウォレットを復元する方法


  • Mnemonic seed からウォレットを復元するには,まず公式デスクトップウォレットを利用可能な状態にする必要がある。公式ウォレットの導入方法については,日本語で詳しく解説している方がいらっしゃるので,まずそちらをご参照いただきたい。

  • 公式ウォレットは公式サイトからダウンロードする。特別なインストール作業は必要なく,解凍したファイルは適当なフォルダを作成して,その中に保存しておけばよい。

  • Moneroに限らず,暗号通貨の公式デスクトップウォレットを使用するには,例外なくブロックチェーンをダウンロードしてデータを同期する必要があるようだ。

  • いろいろなアルトコインでウォレットをいじってみたが,ウォレットに残高が反映されないとか,ウォレットから送金できないといった問題が生じたときは,たいていはブロックチェーンの同期が完了していないことが原因だった。

  • そこでウォレットを使い始める前にブロックチェーンの同期を完了させてしまった方がよいと思われる。Moneroの場合には,bitmonerod.exe を起動して放置しておけばよいが,同期が終わるまでには気が遠くなるような時間がかかる。

  • なお,bitmonerod.exe は自動でデータを保存してはくれないので,ブロックチェーンの同期が終了し,または途中で中断しようと思った場合には,save とコマンド入力して,データを保存する必要がある。

  • また,bitmonerod.exe を終了する場合には exit コマンドを使用する。反応は鈍いがコマンド投入後に自動で終了するので,ウィンドウ右上の×ボタンでは終了させない方が無難。exit コマンドは2回投入する必要がある。

  • ブロックチェーンの同期が終わったらウォレットを復元するが,この作業には simplewallet.exe を使用する。simplewallet.exe はダブルクリックで起動できるが,ウォレットを復元する場合には,引数付きで起動する必要があるのでコマンドプロンプトを使用する。

  • コマンドプロンプトを起動させ,simplewallet.exe が C:\Program Files\monero の中にある場合には次のようにコマンド入力をする。

  • "C:\Program Files\monero\simplewallet.exe" --restore-deterministic-wallet


  • すると simplewallet.exe が起動し,ウォレットの名称とパスワードを指定を求められるのでこれらを入力した後,Mnemonic seed を入力すれば復元が完了する。


  • CUIベースのウォレットは,たいてい help とコマンド入力するとコマンド一覧が表示されるので,それを見ながら使い方を覚えていくことになる。


  • パブリックアドレスを表示させるコマンドは address で,プライベートキーを表示させるコマンドは spendkey で,ウォレットの残高を表示させるコマンドは balance になる。


  • ちなみに送金するためのコマンドは transfer でその構文は次の通り。

  • transfer [送金先アドレス] [送金額] [ペイメントID]

  • ペイメントIDはオプションだが,POLONIEXに送金する際には必ず指定しろと記載されている。送金の際には simplewallet.exe と bitmonerod.exe を同時に起動させておく必要がある。

2016年8月16日火曜日

Moneroのペーパーウォレットを作成する方法


  • 暗号通貨の保管方法を考える場合にもっとも重視すべきことは,それを永続的に安定して使用し続けられるのかということだろう。

  • IT技術はどんどん陳腐化していくから,規格が変わったりOSが変わったりで,現在使用している製品やサービスは5年10年後には使用できなくなっている可能性が高い。

  • それを提供する企業なりが環境の変化にあわせてアップデートをしてくれればよいが,暗号通貨界隈のスタートアップ企業が5年10年と生き残れる保証はない。

  • そうすると,ウェブウォレットなりハードウェアウォレットなりに保管したまま長期間放置していると,いつの間にか取り出せなくなっていたなんてことが起こりかねない。

  • ただでさえ価値が不安定なのに,それに加えてウォレット提供元の信用リスクまで負わされたのではたまったものではない。

  • もちろん,きちんと情報収集をしていればそういう最悪の事態は防げるだろうけれど,現役世代は歳を取るほどに忙しくなるだろうから,今それができているとしてもいつまでも続けられるとは限らない。

  • 自分の労力を前提に安全だと評価するのはちょっと危ういのではないだろうか。

  • 基本的に,何か手の込んだことをすればするほど,陳腐化リスクや信用リスクなど,余計なリスクをしょい込むことになるように思う。

  • そうだとすると,暗号通貨の保管はできるだけプリミティブで汎用性のある方法がよいはずで,そう考えればプライベートキーをペーパーウォレットの形で記録しておくのが一番だろう。

  • もっとも,ビットコインのようなメジャーな通貨はともかく,アルトコインの場合にはペーパーウォレットを簡単に作成するサービスがなかったりする。

  • その場合はどうしようかと考えると,まあ作ってしまえばよいだろうと。

  • なおペーパーウォレットは,やはり紙幣のような形状にし,特殊な紙に印刷するなどして,大切なものであることが見た目で分かるようにしておいた方がよいと思う。見た目がチープだと思わず捨ててしまいかねない。

  • 私はラミネート加工をして通帳などといっしょに保管している。ラミネート加工は専用の機械がなくてもアイロンを低温で当てればそれなりに可能。

  • それから,ペーパーウォレットに暗号通貨を送金するのは,そこから取り出す方法を確認してからの方がよいと思う。

  • たいていは公式デスクトップウォレットにインポートすることになるようだが,これが全くユーザーフレンドリーではなく,公式ウォレットがまともに動かないとかふざけた通貨もある(Fがつくやつ)。

  • CUIベースの操作を要求されることが多いので,コマンドプロンプトの使用に抵抗がないという感じの方でないとハードルが高いかもしれない。

  • さて,Moneroのウォレットはこちらのサイトで作成できる。

  • Geneate Wallet のボタンを押すと,Public address と Mnemonic seed と Private keys が生成されるが,このうちペーパーウォレットを作成するのに必要なのは Public address と Mnemonic seed だけで Private keys は必ずしも必要はない。

  • Mnemonic seed は公式ウォレットにインポートするために使用するが,プライベートキーはインポート後に公式ウォレット上で確認できる。

  • なお,プライベートキーが2種類あるのは,Moneroが外部からでウォレットの中身をのぞき見ることができないような仕様になっており,これを見るため専用の View key がプライベートキーとして存在するため。

  • ただし,View key でウォレットの残高をさくっと確認できるようなサービスは存在していない様子。一般的な意味のプライベートキーは Spend key のほう。

  • Public address と Mnemonic seed は二次元バーコードにしておくのが便利だと思うが,これはフリーソフトなどで簡単にできる。QR Code Editor などがシンプルでよいのでは。

  • あとは,画像なりを準備して適当に配置して印刷をすればペーパーウォレットが完成する。

2016年7月24日日曜日

自律分散型組織が生み出す新たな法律問題(その1)


  • 私は Access 開発歴が長いので,DAO と言ったら Data Access Object のことで,そんな私に「自律分散型組織」を語る資格は明らかにないのだが,TheDAO に対するハッキング事件には法律家として興味をそそられる。

  • はたしてこのハッカーを犯罪者として処罰できるのか,流失したETHが失われて出資者に実害が発生した場合に誰に対してどのような責任追及ができるのかなどなど。

  • 結論からいえば,現在の法体系は自律分散型組織なるものを想定しておらず,今ある法律をそのまま適用しようとしてもいろいろと無理がある。

  • 社会の変化に法律が追いついていない状況で,これから法律の整備が必要になるのかもしれないが,おそらく日本の法律家はもちろんのこと,海外の法律家だって「自律分散型組織」なんてものについて真剣に考えたことはないんじゃないだろうか。

  • これから研究者を目指す法学部生は,こういう誰も考えていない問題こそ研究テーマにすべきだ。指導教官の受けが悪いことは請け合いだが,50年後には第一人者として崇め奉られているかもしれない。

  • 理系の知識がなければ手が付けられない問題ではない。要するに「団体としての組織と規約を備えているが,管理者がおらずコンピューターが自律的に運営をする『自律分散型組織』なるものが世の中に存在する場合,それをめぐる法律関係をどのように処理をするか」ということだ。

  • まず刑事法について。今回のハッキング事件が日本が起こったことだったとして,現在の日本の法律でハッカーを処罰できるかというと,おそらく処罰できない。

  • 一般の方はどうして思うのかもしれないが,いかに犯罪性の強い行為であっても,法律が定める犯罪の要件に該当しない限り処罰できないというのが刑事法の大原則で,私が知る限り今回のハッカーの行為が要件を満たす犯罪は存在しない。

  • 例えば「窃盗罪」という犯罪があるが,これは物理的な財産だけを対象にしているので情報を盗んでも窃盗罪とはならない。「詐欺罪」であれば物理的な財産以外も対象となるが,こちらは「人間を欺く」ことが要件なので,プログラムに操作を加えただけの今回のケースには該当しない。

  • 「不正アクセス禁止法違反」という犯罪もあるが,これはアクセス制限されたコンピューターに不正侵入する犯罪で,今回のハッカーの行為はコンピューターに対する不正侵入というわけではないようなので,これも成立しないだろう。

  • なお,破たんした某ビットコイン取引所のケースのように内部犯行であれば「横領罪」の余地もあるが,横領罪は「自分が管理する他人の財産を流用する犯罪」だから,純粋な自律分散型組織で管理者がいないのであれば成立する余地がない。

  • 「電磁的記録不正作出罪」(上記取引所の社長は最初にこの容疑で逮捕された)については適用できそうな気もしないではないが,これは財産犯罪ではないので,他人のふんどしで相撲を取っている感がある。

  • アメリカの刑事法がどうなっているのかはよく知らないが,日本の法律と極端に違うことはないと思われ,今回のハッカーの身元が判明しても処罰されることはないんじゃないだろうか。おそらく警察の捜査自体が行われていないのではないかと思われる。

  • 国家権力が捜査をしないとハッカーを捕まえるのは難しいのだろうから,そうするとハッカーは自律分散型組織に対してやりたい放題だが,それでは正義に反するし,社会の進歩も阻害するから,やはり刑罰を科さなければならない。

  • そうすると,自律分散型組織を守るために,今回のようなケースでハッカーを処罰する法律を新たに作るべきだということになる。

  • ところで,今回の TheDAO はネット上に存在する完全にバーチャルな存在だったが,自律分散型組織の概念は,そのようなバーチャルな存在だけを前提にしているわけではなく,それが物理的な実体を伴う場合もあるのかもしれない。

  • では仮に,自律分散型組織が日本円で出資を集め,その日本円を物理的な金庫に保管していたとして,その金庫から現金を盗む行為は犯罪となるだろうか。

  • 比較のために,自動販売機から現金を盗む行為が犯罪になるかというと窃盗罪になる。窃盗罪は「他人が所持する財産を盗む犯罪」だが,自動販売機はそれを管理している人がいるから,その中にある現金もその人が「所持」していると言えるため。

  • では,自律分散型組織についてはどうかというと,それが純粋な自律分散型組織ならば管理者は存在しないのであるから,金庫を管理している人はおらず,その中の現金を盗んでも「窃盗罪」は成立しないことになる(占有離脱物横領罪というより軽い罪になる)。

  • これはやはり常識に反している。

  • 自律分散型組織というアイデアを生かしつつ,それを法律的に十分に保護するには,まず自律分散型組織に法人格を付与すべきではないだろうか。

2016年7月14日木曜日

テクニカル分析の本質


  • 芥川龍之介の短編に「竜」というのがあって,そこそこメジャーなんじゃないかと思うけれど。

  • ある法師が,いたずら目的で「この池から3月3日に竜が昇るだろう」という嘘の立札を立てたら,予想以上に噂が広まって当人自身が当惑してしまっていたが,当日になって大勢の見物客が見守っていたところ,本当に池から竜が昇ったという話。

  • 私は以前から相場の本質はこれなんじゃないかと思っている。嘘でもなんでも,多くの人が信じればそれが本当になってしまう…。

  • 例えばこんな感じ。FX界隈では「ごとおび」(5と10がつく日)は円安になるという話をよく聞く。

  • 5と10が付く日はドルの資金需要があるからというのがその理由らしいが,資金需要が理由ならば,為替取引の決済は取引の2営業日後なのだから,円安になるのは「ごとおび」の2営業日前のはずだろう。

  • だから「ごとおび」の円安というのは間違いなんじゃないかと私は思うのだが,それでも統計を取ってみると,実際に「ごとおび」は円安になる傾向があるらしい。

  • これは,「ごとおび」の円安を信じた投資家が,それに期待して円を売るため結果的に円安になるのではないだろうか。相場の世界では,間違った事実であっても,広く信じられるとそれが本当になってしまう…。

  • 「株式投資は美人投票だ」という言い方もよくされる。

  • これは,「自分がよいと思った銘柄を買うのではなく,多数の投資家がよいと思うであろう銘柄を予想して買え」ということだと思うが,ここでも重要とされるのは,実際の良し悪しではなく,多数の投資家がどう思うかだ。

  • 結局のところ,相場というのは万事そういうことなのではないのだろうか。

  • 相場を支配しているのは「客観的な真実」ではなく,多数の投資家がどう思うかという意味での「主観的な真実」である。

  • ならば,テクニカル分析についてもそのような観点から理解すべきだろう。

  • プロの投資家の方で,テクニカル分析にはまったく意味がないとおっしゃる方もいるが,私はそうは思わない。

  • 確かに,黄金比がうんぬんとかフィボナッチ数列がうんぬんなどと言われると,オカルトですかと言いたくなるのだが,オカルトでも何でも多数の投資家が信じれば相場はその通りに動くだろう。

  • ただし,なにかが普遍的な原理がアプリオリに存在しているわけではなく,テクニカル分析は多数の投資家がそれを認識し,それを注目するようになって初めて意味がある。

  • これがテクニカル分析の本質ではないだろうか。「誰も知らない自分だけのテクニカル分析」には何の意味もない。

  • テクニカル分析は,「多数の投資家が売買のポイントだと考えるタイミングを予想するため」に存在しているのであり,どの指標をどのように使うかはその目的から逆算すべきだろう。

  • 分かったような分からないような小難しい理論よりも,誰もが知っているオーソドックスな指標の方がよほど重要だと思う。