- FXで勝てない方がビットコイン取引ならば勝てるかといったらそういうものではないと思う。そういう動機で乗り換えようと思うのなら,FXに踏みとどまって研さんを続けた方がよいのでは。
- ただ正直なところ,現在のビットコインチャートはすごくきれいな形をしていて,希望の持てるチャートになっていると思う。
- 相場というのは常に波打っているから,チャートを見ても一見して相場が上昇しているのか下落しているのか分からない場合もある。では,そういう場合に何を基準に上昇下落を判断しているかというと,チャートの「山と山」「谷と谷」を比較しているのではないだろうか。
- 上昇している相場というのは,「上値を切り上げ,かつ下値を切り上げている相場」のことだろう。かみ砕いていえば,「新しい山の頂上がその前の山の頂上よりも高い位置となり,新しい谷の底がその前の谷の底よりも高い位置となる状況が連続している状態」ということになる。
- そうすると,チャートの「山と山」「谷と谷」の位置関係に着目することで,売買のタイミングも判断できる。
- 相場はいったん方向性が生まれるとその方向に進み続ける傾向にあるから,相場の上昇が開始したと確認できた場合,相場の上昇が継続していると確認した時点で買いポジションを持てばよい。
- そこで上記の定義をもとに,相場上昇の開始・継続が確認できるのは何時かと考えると,それは「新しい谷がその前の谷を下まわらず,新しい山がその前の山を上まわることが確定した時点」であり,一言で言えば「前回高値を更新した時点」ということになる。
- 買いポジションを持った後も上値の切上げ,下値の切上げを確認しつづける限りはそのままホールドすればよい。しかし,いずれは「新しい山がその前の山を越えられないとき」がくる。そのときは上昇相場の終了にリーチがかかっている。
- そのうえで,「新しい谷がその前の谷を下まわることが確定した」場合には,上昇相場が終わって下落相場が始まった可能性が高く,買いポジションは決済すべきだろう。
- この際のチャートの形状がヘッドアンドショルダー(三尊天井)とかダブルトップなどと呼ばれているものであり,決済すべきタイミングはネックラインを割った時点ということになる。
- さて,BITSTAMP の週足チャートを見ると,2013年11月に史上最高値の1163ドル(画像の1)を付けた後,2015年1月に152ドルまで下落している(画像の3)。この間は,上値も下値も切り下げ続けているから下落相場であることは明らかだ。
- その後,2015年3月にかけて297ドルまで上昇し(画像の4),再び下落してしばらく低迷が続いたが(画像の5),ここで1月の安値を割り込まず,2013年以来の上値抵抗線を突破したことにより相場反転の可能性が出てきた。
- そのうえで,3月の高値を再び上まわってくれば完全に底入れの形だと思っていたが,7月にそれを試すも一筋縄には行かず,300ドルの壁を完全に突破することはできずに再び失速してしまう(画像の6)。
- 8月に200ドルを割るところまで下落するものの(画像の7),このときに1月の安値を割り込まなかったことが大きかった。
- これによって完全に二番底を確認したと判断され,さらに再び上昇して300ドルの壁を突破したことで上昇相場に転じた判断されて,11月の急騰(画像の8)につながったものと思う。
- 上の説明に即していえば,買いポジションを持つべきタイミングは「300ドルの壁を突破した時点」だったことになる。
- その後しばらく三角保ち合い(上値を切り下げ,下値を切り上げている状態)が続いたが,2015年8月からきれいに下値を切り上げ続けており,上にブレイクするのは時間の問題だろうと思われた。
- 今年の4月になって三角保ち合いが煮詰まりきったところでようやく上値抵抗線を突破し,5月下旬に2015年12月の高値(467ドル)を更新すると,2015年11月の高値(502ドル)も一気に突破し,現在は594ドルまで上昇している(画像の9)。
- ただ,半年間も続いた三角保ち合いをブレイクして高値更新となれば,うっぷんを晴らすかのように出来高が急増してもよいように思うが,これが一向に増えないことに不自然さを感じてしまう。
- ちなみに私はMACD重視なのだが,上の画像では緑色の線がMACD,赤色の線がシグナルで,2015年2月ころゴールデンクロスしていることが分かる(画像のa)。これを信じて買いポジションをとっていれば,現在までの上昇相場をほとんどまるまる取れたことになる。
- 5月下旬の急騰で2015年11~12月の高値を更新したことにより,上昇相場の継続が確認された。MACDも今年の1月にデッドクロスしていたが,直近で再びゴールデンクロスしている(画像のb)。
- 現在のビットコイン相場は上値も下値も切り上げ続ける完全な上昇相場で,大局ではまだまだ上昇は続きそうに思う。次の節目は2014年6月の高値(画像の2)である683ドルだろう。
(つづく)
- ほかにビットコイン取引がお勧めできない理由としては流動性が低いことがある。おそらく投資金額が全般的に少ないのだと思うが,個々のオーダーの金額が小さく,ある程度まとまったお金を投資しようとすると難儀する。
- もっとも,bitFlyerFX の出来高は運用開始のころと比べると予想以上に増えており,私くらいの投資金額であれば,注文がはけずにストレスがたまるといったことはほとんどなかった。
- ただこの bitFlyerFX は何ともよく分からない仕組みの取引で,少なくとも私が知る「FX」とは別物だし,それがなにかと聞かれても「FXとは別のなにか」としか答えようがない。
- というのは第一に,FXは一般に相対取引であり,投資家が売ったり買ったりした場合の取引相手はFX業者なのだが,bitFlyerFX は投資家どうしで取引をする市場取引だ。ビットコインではカバー取引ができないので,外国為替と同じようなFXは不可能なんだろう。
- まあ,それはそれでもよいのだけれど,ならばスワップポイントが売りも買いもマイナスというのはどういうことかと。そのスワップポイントを受け取っているのは誰なのかと。
- スワップポイントは,売った通貨と買った通貨の金利差を精算するものだから,金利の安い通貨を買った者が,金利の高い通貨を買った相手に支払うべきものだ。
- にも関わらず,スワップポイントが売りも買いもマイナス(要するに,売り手も買い手も金利を支払う)ということは,それが本当にスワップポイントならば,取引所がくすねているということであって,実態はスワップポイントではないだろう。
- これは実質的に「利息」であり,bitFlyerFX は取引所からお金やビットコインを借りて売り買いをしているというのが実態で,FXというよりは「信用取引」と呼ぶべきだろう。
- 取引所にも儲けが必要だから利息を取るのはいっこうにかまわないと思うが,「スワップ」(交換)の要素は何もないのだから,これをスワップポイントと称して,なんとなくごまかすようなやり方はいかがなものだろうか。
- ついでに言わせてもらうと,投資家が取引所に金利をいくら支払ったのかを明らかにするのは当然のことであって,きちんと取引履歴に明示していただきたい。支払った金利が正確に分からないと税金の計算ができない。
- 第二に,FXは一般に外部から為替レートの配信を受けているから,FX投資家が売買を成立させてもそれによって為替レートが変動することはない。もちろん,カバー取引によって間接的な影響が及ぶことはあるのかもしれないが,FX業者がカバー取引をやっているとは限らない。
- これに対して,bitFlyerFX は為替レートの配信を受けているわけではなく,ザラバ寄せで取引価格を決めているため,投資家の売り買いによって直接的に為替レートが変動する。
- この仕組みでは不都合な場合があるのではないだろうか。
- というのは,bitFlyerFX にも強制ロスカットの仕組みが存在するが,相場が大幅に変動して強制ロスカットが発動し,建玉が成行決済されると,その成行決済によってさらに相場が変動してしまう。
- そうすると,強制ロスカットが別の強制ロスカットを誘発し,際限なく連続して強制ロスカットが発生する事態が生じうるのではないだろうか。もしそうならば,他の取引形態よりも価格変動が増幅されがちで,投資家はより大きなリスクを負っていることになる。
- 大口投資家が結託し,1円で買い注文を入れたうえで大量の売り注文を出し,すべての買い建玉を強制ロスカットさせて1円で取引を成立させるなんていう攻撃が可能なんじゃないかと思ってしまうのだが。
- なんか悪口ばかりになってしまったが,私は正直なところ bitFlyerFX のことが嫌いではない。ビットコインを普及させるためにも,もっと取引が活発になって,もっと出来高が増えることを願っている。
(つづく)
- 目下のところ私にとって投資の主戦場はFXなのだが,相場観として当面は円安トレンドを見込んでおり(月足のドル円チャートでMACDがクロスするくらいまでは),アメリカの追加利上げも年末まではないだろうと踏んでいた。
- それで,5月6日の雇用統計が予想を下回ったのを確認してドル売りポジションをとったところ,予想外にドル安に振れてしまったため,FXはしばらくお休みすることにして以前から関心があった BitflyerFX に挑戦してみることにした。
- そうしたところ,先週末の雇用統計でまたまた予想外のドル高となり,週明けからFXに復帰することにしたので,ちょうど1か月間にわたって BitflyerFX をやってみた感想などを書きます。
- まず,FX投資家がビットコイン取引に乗り換えるメリットがあるというと,現状ではないと断言してよいと思う。
- その理由は,まず何よりも税金面で圧倒的に不利だという一言につきる。
- というのは,国内FXは申告分離課税なので,どれだけ稼いでも所得税は一律20パーセントで済むが,ビットコイン取引の利益は総合課税であって給与所得や事業所得などと合算して累進課税となり,最高税率は45パーセントにもなる。
- ビットコイン取引などで1000万円を超えるような利益を得てしまった方は,今のうちから所得税がどれくらいになるかを計算し,計画的に円貨をプールしておかないと大変なことになる。
- また損失が出た場合にも,国内FXであれば翌年以降に損失を繰り越すことができるが,ビットコイン取引では損失を繰り越すことも,損益通算(損失を他の所得と相殺する)することもできない。
- 申告分離課税は本当にありがたい仕組みであり,これは海外FXにも言えることだが,ビットコイン取引についても,申告分離課税のメリットを手放してまで乗り換える魅力はないように思う。
- ちなみに,申告をせずに税金をごまかそうなどとは考えない方がよいと思う。
- ごく普通のサラリーマンの方々は税務署が来るなんて都市伝説だろうくらいに思うのかもしれないが,日常的に自己申告で税金を納めている人(自営業者や法人の経営者)にとっては,税務調査は特別に珍しいものではないし,私自身も税務調査を受けたことはある。
- 税務署は,下調べをしたうえで来るときには来るので,甘く見ない方がよい。そして,仮想通貨圏の広がりに関心をよせているのは税務署も同じだろう。
- ここから先は想像も入っているのだが,税務署は毎年同じような調査を同じようにやっているのではなく,その時々のテーマを重点的に調査しているように思う。その意味で仮想通貨法制のできた今年などは特に要注意ではないだろうか。
- マイナンバー制度のおかげで証券会社やFX業者に対する調査は容易になるので,制度の適用がないビットコイン取引所に余剰人員をまわすという展開もありうるかもしれない。
- 彼らは国家権力なので,民間の感覚ではちょっと考えられないような調査ができてしまう。税務署が照会をすれば,ビットコイン取引所は顧客データも取引履歴もすべてのデータを躊躇なく開示するだろう。個人情報保護とかそういうレベル問題ではない。
- それを解析され,ある日突然に税務署からお問い合わせが来るというのは現実的にありうる話だと思う。
- 結果的に納税を免れたとしても,いつ税務署が来るかとびくびく怯えてすごすなどというのは,まっとうな社会人のすることではないだろう。
(つづく)