- 私は Access 開発歴が長いので,DAO と言ったら Data Access Object のことで,そんな私に「自律分散型組織」を語る資格は明らかにないのだが,TheDAO に対するハッキング事件には法律家として興味をそそられる。
- はたしてこのハッカーを犯罪者として処罰できるのか,流失したETHが失われて出資者に実害が発生した場合に誰に対してどのような責任追及ができるのかなどなど。
- 結論からいえば,現在の法体系は自律分散型組織なるものを想定しておらず,今ある法律をそのまま適用しようとしてもいろいろと無理がある。
- 社会の変化に法律が追いついていない状況で,これから法律の整備が必要になるのかもしれないが,おそらく日本の法律家はもちろんのこと,海外の法律家だって「自律分散型組織」なんてものについて真剣に考えたことはないんじゃないだろうか。
- これから研究者を目指す法学部生は,こういう誰も考えていない問題こそ研究テーマにすべきだ。指導教官の受けが悪いことは請け合いだが,50年後には第一人者として崇め奉られているかもしれない。
- 理系の知識がなければ手が付けられない問題ではない。要するに「団体としての組織と規約を備えているが,管理者がおらずコンピューターが自律的に運営をする『自律分散型組織』なるものが世の中に存在する場合,それをめぐる法律関係をどのように処理をするか」ということだ。
- まず刑事法について。今回のハッキング事件が日本が起こったことだったとして,現在の日本の法律でハッカーを処罰できるかというと,おそらく処罰できない。
- 一般の方はどうして思うのかもしれないが,いかに犯罪性の強い行為であっても,法律が定める犯罪の要件に該当しない限り処罰できないというのが刑事法の大原則で,私が知る限り今回のハッカーの行為が要件を満たす犯罪は存在しない。
- 例えば「窃盗罪」という犯罪があるが,これは物理的な財産だけを対象にしているので情報を盗んでも窃盗罪とはならない。「詐欺罪」であれば物理的な財産以外も対象となるが,こちらは「人間を欺く」ことが要件なので,プログラムに操作を加えただけの今回のケースには該当しない。
- 「不正アクセス禁止法違反」という犯罪もあるが,これはアクセス制限されたコンピューターに不正侵入する犯罪で,今回のハッカーの行為はコンピューターに対する不正侵入というわけではないようなので,これも成立しないだろう。
- なお,破たんした某ビットコイン取引所のケースのように内部犯行であれば「横領罪」の余地もあるが,横領罪は「自分が管理する他人の財産を流用する犯罪」だから,純粋な自律分散型組織で管理者がいないのであれば成立する余地がない。
- 「電磁的記録不正作出罪」(上記取引所の社長は最初にこの容疑で逮捕された)については適用できそうな気もしないではないが,これは財産犯罪ではないので,他人のふんどしで相撲を取っている感がある。
- アメリカの刑事法がどうなっているのかはよく知らないが,日本の法律と極端に違うことはないと思われ,今回のハッカーの身元が判明しても処罰されることはないんじゃないだろうか。おそらく警察の捜査自体が行われていないのではないかと思われる。
- 国家権力が捜査をしないとハッカーを捕まえるのは難しいのだろうから,そうするとハッカーは自律分散型組織に対してやりたい放題だが,それでは正義に反するし,社会の進歩も阻害するから,やはり刑罰を科さなければならない。
- そうすると,自律分散型組織を守るために,今回のようなケースでハッカーを処罰する法律を新たに作るべきだということになる。
- ところで,今回の TheDAO はネット上に存在する完全にバーチャルな存在だったが,自律分散型組織の概念は,そのようなバーチャルな存在だけを前提にしているわけではなく,それが物理的な実体を伴う場合もあるのかもしれない。
- では仮に,自律分散型組織が日本円で出資を集め,その日本円を物理的な金庫に保管していたとして,その金庫から現金を盗む行為は犯罪となるだろうか。
- 比較のために,自動販売機から現金を盗む行為が犯罪になるかというと窃盗罪になる。窃盗罪は「他人が所持する財産を盗む犯罪」だが,自動販売機はそれを管理している人がいるから,その中にある現金もその人が「所持」していると言えるため。
- では,自律分散型組織についてはどうかというと,それが純粋な自律分散型組織ならば管理者は存在しないのであるから,金庫を管理している人はおらず,その中の現金を盗んでも「窃盗罪」は成立しないことになる(占有離脱物横領罪というより軽い罪になる)。
- これはやはり常識に反している。
- 自律分散型組織というアイデアを生かしつつ,それを法律的に十分に保護するには,まず自律分散型組織に法人格を付与すべきではないだろうか。
2016年7月24日日曜日
自律分散型組織が生み出す新たな法律問題(その1)
2016年7月14日木曜日
テクニカル分析の本質
- 芥川龍之介の短編に「竜」というのがあって,そこそこメジャーなんじゃないかと思うけれど。
- ある法師が,いたずら目的で「この池から3月3日に竜が昇るだろう」という嘘の立札を立てたら,予想以上に噂が広まって当人自身が当惑してしまっていたが,当日になって大勢の見物客が見守っていたところ,本当に池から竜が昇ったという話。
- 私は以前から相場の本質はこれなんじゃないかと思っている。嘘でもなんでも,多くの人が信じればそれが本当になってしまう…。
- 例えばこんな感じ。FX界隈では「ごとおび」(5と10がつく日)は円安になるという話をよく聞く。
- 5と10が付く日はドルの資金需要があるからというのがその理由らしいが,資金需要が理由ならば,為替取引の決済は取引の2営業日後なのだから,円安になるのは「ごとおび」の2営業日前のはずだろう。
- だから「ごとおび」の円安というのは間違いなんじゃないかと私は思うのだが,それでも統計を取ってみると,実際に「ごとおび」は円安になる傾向があるらしい。
- これは,「ごとおび」の円安を信じた投資家が,それに期待して円を売るため結果的に円安になるのではないだろうか。相場の世界では,間違った事実であっても,広く信じられるとそれが本当になってしまう…。
- 「株式投資は美人投票だ」という言い方もよくされる。
- これは,「自分がよいと思った銘柄を買うのではなく,多数の投資家がよいと思うであろう銘柄を予想して買え」ということだと思うが,ここでも重要とされるのは,実際の良し悪しではなく,多数の投資家がどう思うかだ。
- 結局のところ,相場というのは万事そういうことなのではないのだろうか。
- 相場を支配しているのは「客観的な真実」ではなく,多数の投資家がどう思うかという意味での「主観的な真実」である。
- ならば,テクニカル分析についてもそのような観点から理解すべきだろう。
- プロの投資家の方で,テクニカル分析にはまったく意味がないとおっしゃる方もいるが,私はそうは思わない。
- 確かに,黄金比がうんぬんとかフィボナッチ数列がうんぬんなどと言われると,オカルトですかと言いたくなるのだが,オカルトでも何でも多数の投資家が信じれば相場はその通りに動くだろう。
- ただし,なにかが普遍的な原理がアプリオリに存在しているわけではなく,テクニカル分析は多数の投資家がそれを認識し,それを注目するようになって初めて意味がある。
- これがテクニカル分析の本質ではないだろうか。「誰も知らない自分だけのテクニカル分析」には何の意味もない。
- テクニカル分析は,「多数の投資家が売買のポイントだと考えるタイミングを予想するため」に存在しているのであり,どの指標をどのように使うかはその目的から逆算すべきだろう。
- 分かったような分からないような小難しい理論よりも,誰もが知っているオーソドックスな指標の方がよほど重要だと思う。
2016年7月4日月曜日
暗号通貨ポートフォリオの内容
- 私がビットコイン投資を始めたのは昨年7月で現在まで合計300万円を投資している。今年の5~6月にはビットコインFXにも手を出して,600万円を超えるところまで資産が増えたので,それを原資にして長期投資を念頭に暗号通貨のポートフォリオを作成することにした。
- ビットコインを含めて10種類の暗号通貨を選び,600万円を10等分して60万円ずつになるように購入したが,その内訳は次の通り。
- 購入したアルトコインは,大半はペーパーウォレットで保管し,ペーパーウォレットが確保できない場合にはデスクトップウォレットやオンラインウォレットに保管している。
- 本当は,資金配分をマーケットキャップに比例させるなどすべきだったのかもしれないが,面倒くさいので単純に10等分にしてしまった。そのせいか,弱小コインではリッチリストのかなり上位に食い込んでしまっている。
- ちなみに,マーケットキャップでアルトコインの良し悪しを選別するという話をよく聞くが,マーケットキャップは発行数量が多ければ必然的に額が大きくなるので,その大小は必ずしも通貨の実力を反映しているわけではないような気がする。
- そのため,投資対象を選ぶにあたってはマーケットキャップよりも出来高を重視した。出来高はその通貨に対する投資家の注目度をダイレクトに表しており,投資家の注目度の高さはその通貨の実力を反映していると思ったので。
- 原則として,PLONIEXで24時間の出来高が100BTCを超えるものの中から,ネットの情報で有望そうなものを選んでいる。
- なお買い付けは一度に行ったわけではなく,それなりに時間をかけて徐々に行ったのだが,DAOに対するハッキング事件が発生した時点では9割がたの購入が終わってしまっていた。
- 実際の購入に用いたビットコインは合計で85.9931BTCで,平均すると1BTC=6万9773円ということになる。
- ポートフォリオが完成して2週間ほど様子を見ているが,アルトコインは値動きが激しく,それぞれがてんでばらばらに動くので,ポートフォリオの作り甲斐があるように思う。
- このブログを書いている段階での資産価値は,円建てで680~720万円,ビットコイン建てで100~110BTCくらいを推移しており,ビットコインが上昇すると円建ての資産価値があがり,下落するとビットコイン建ての資産価値があがる傾向にある。
- ビットコインを単独で保有するよりも変動はマイルドなんじゃないかと思う。
- 相場を見ていると,いろいろいじりたくなってくるのだが,最低でも半年ぐらいは我慢をしてこのまま動かさず,データ収集に専念するつもり。
| 通貨 | 単価 | 数量 | 総額 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Ethereum | 0.016 | 560 ETH | 9.0401 BTC |
| 2 | Monero | 0.001 | 4,700 XMR | 8.5267 BTC |
| 3 | Factom | 0.001 | 5,600 FCT | 8.6490 BTC |
| 4 | Lisk | 0.000 | 13,800 LSK | 8.9966 BTC |
| 5 | Obits | 0.000 | 45,000 OBITS | 7.9993 BTC |
| 6 | Syscoin | 0.000 | 740,000 SYS | 8.4102 BTC |
| 7 | Ripple | 0.000 | 957,000 XRP | 9.3720 BTC |
| 8 | NEM | 0.000 | 1,010,000 XEM | 8.1984 BTC |
| 9 | Siacoin | 0.000 | 9,300,000 SC | 8.4675 BTC |
| 10 | Bitcoin | 72,000 | 8.3333 BTC | 599,997 JPY |
2016年7月3日日曜日
ビットコイン取引についての雑感(その4)
- 私はビットコインのことが好きだし,イノベーショナルなところをすごく評価しているけれど,その将来性についてはむしろ悲観的だ。
- というのは,通貨である以上はまず第一に決済手段でなければならないと思うのだが,ビットコインが決済手段として普及する可能性は極めて低いと思うため。
- そもそも,ビットコインで決済をする場合,決済の確定するまでに5分10分の時間がかかってしまう。クレジットカードや電子マネーで瞬時に決済ができるのに,決済のために店頭でこれだけの時間を待つというのは現実的でない。
- こういった不都合を回避する方法して,デビットカードのような形で決済代行業者にいったん支払いを立て替えてもらうことが考えられるが,この方法では決済代行業者に対する手数料が発生しまう。
- 手数料が安いというのがビットコイン利用のメリットのはずだが,これではクレジットカードや電子マネーで決済するのと変わらなくなってしまい,あえてビットコインで決済をする必要がない。
- また,ビットコインを受け取った店舗側はこれを日本円に両替しなければならず,その際に為替コストが発生する。現状では,取引所の流動性が低くてスプレッドが大きいからこの負担がかなり重いものと思われる。
- そうすると,店舗側は決済の際の為替レートに一定の為替コストを上乗せするだろうが,そうなると消費者側は支払金額が適正かどうかを容易に確認できない。気づかないうちに高額な手数料を払わされる可能性もあって気持ちが悪く,明朗決済にならないだろう。
- そうこう考えるとビットコインを決済に用いても何もよいことはない気がする。暗号通貨を決済に用いるとしても,電子マネーのように日本円とペッグされたもの方が圧倒的に使い勝手がよいのでは。
- 決済手段として普及しないとしても,価値を保全する手段として有用だという意見もあるだろう。その意味するところは,「長期投資の対象として適している」というのとほとんど同じだろうが,私もそう思うからこそビットコインを投資の対象と考えてきた。
- しかし今ここに至っては,この点についても疑問を感じはじめている。
- 第一に,短期的な価格の上昇があまりにも急で,もはやビットコイン価格の天井が近いと思うため。ビットコインがどこまで上昇するかは分からないが,永久に上昇し続けることはありえない。
- かつてバンクオブアメリカがビットコインの適正価格を1300ドルだと算定したことがあり,これもありえない数字ではなくなったが,それでもこれくらいが上昇の限界とみておくべきではないだろうか。
- そうすると,今後の上昇余地はせいぜい500ドルといったところだが,ここまで急ピッチで上昇してきたことも踏まえると,その程度の上昇余地ならダウンサイドリスクの方が大きく,投資として割に合わない気がする。
- 第二に,最近なにやら,個人もマイナーも取引所も,ビットコインに関わるすべての人がビットコインの上昇を切望しているような気がして,そういう風潮に危うさを感じるため。
- あまりに意見が一致しすぎると,集団心理が警戒心を麻痺させ,熱狂を呼び,過剰な投資を行わせる。それが,17世紀のチューリップバブル以来のバブル発生のメカニズムじゃなかろうか。
- 実際のところ,ビットコインを買っている人の圧倒的多数は,本当にビットコインの将来性を評価して買っているわけではなく,短期的な値上がりを期待して,売り抜けを目的に買っているのだろう。要するに値上がりが見込めるならばビットコインである必要はなく,球根でもかまわない。
- そういう相場は,自分よりも高値で買ってくれる人が存在する限りは上昇を続けるが,何かの拍子に買い手がいなくなったときに一気に逆回転して崩壊する危険がある。
- バブルかどうかは結局のところ崩壊してみないと分からない。ビットコイン相場にバブルがすでに発生している可能性も否定できないし,これから本格的なバブルが発生して破滅的な結末になるかもしれない。
- 今回の上昇相場には6月上旬くらいまでお付き合いすることになったが,私はもともとビットコインFXなどの短期売買からは足を洗うつもりで,その後はビットコインの現物を買ってほったらかしにしておこうと思っていた。
- しかし,そういうわけで,暗号通貨に投資を続けるとしても,ビットコインとは一定の距離を取った方がよいかと思い始めている。
- これまでビットコインはともかく,アルトコインに本格的に手を出すのはリスクが高いように思っていたが,むしろビットコインに集中投資するよりアルトコインに分散投資した方がリスクが低いかもしれない。
- そこで方針を変更し,資金を10等分して,ビットコインを含めた10種類の暗号通貨でポートフォリオを作成することにした。
- 買ってみたのはBTC,ETH,FCT,LSK,OBITS,SC,SYS,XEM,XMR,XRPで,今後はポートフォリオのリバランスだけをやっていこうかと思っている。
2016年6月11日土曜日
ビットコイン取引についての雑感(その3)
- FXで勝てない方がビットコイン取引ならば勝てるかといったらそういうものではないと思う。そういう動機で乗り換えようと思うのなら,FXに踏みとどまって研さんを続けた方がよいのでは。
- ただ正直なところ,現在のビットコインチャートはすごくきれいな形をしていて,希望の持てるチャートになっていると思う。
- 相場というのは常に波打っているから,チャートを見ても一見して相場が上昇しているのか下落しているのか分からない場合もある。では,そういう場合に何を基準に上昇下落を判断しているかというと,チャートの「山と山」「谷と谷」を比較しているのではないだろうか。
- 上昇している相場というのは,「上値を切り上げ,かつ下値を切り上げている相場」のことだろう。かみ砕いていえば,「新しい山の頂上がその前の山の頂上よりも高い位置となり,新しい谷の底がその前の谷の底よりも高い位置となる状況が連続している状態」ということになる。
- そうすると,チャートの「山と山」「谷と谷」の位置関係に着目することで,売買のタイミングも判断できる。
- 相場はいったん方向性が生まれるとその方向に進み続ける傾向にあるから,相場の上昇が開始したと確認できた場合,相場の上昇が継続していると確認した時点で買いポジションを持てばよい。
- そこで上記の定義をもとに,相場上昇の開始・継続が確認できるのは何時かと考えると,それは「新しい谷がその前の谷を下まわらず,新しい山がその前の山を上まわることが確定した時点」であり,一言で言えば「前回高値を更新した時点」ということになる。
- 買いポジションを持った後も上値の切上げ,下値の切上げを確認しつづける限りはそのままホールドすればよい。しかし,いずれは「新しい山がその前の山を越えられないとき」がくる。そのときは上昇相場の終了にリーチがかかっている。
- そのうえで,「新しい谷がその前の谷を下まわることが確定した」場合には,上昇相場が終わって下落相場が始まった可能性が高く,買いポジションは決済すべきだろう。
- この際のチャートの形状がヘッドアンドショルダー(三尊天井)とかダブルトップなどと呼ばれているものであり,決済すべきタイミングはネックラインを割った時点ということになる。
- さて,BITSTAMP の週足チャートを見ると,2013年11月に史上最高値の1163ドル(画像の1)を付けた後,2015年1月に152ドルまで下落している(画像の3)。この間は,上値も下値も切り下げ続けているから下落相場であることは明らかだ。
- その後,2015年3月にかけて297ドルまで上昇し(画像の4),再び下落してしばらく低迷が続いたが(画像の5),ここで1月の安値を割り込まず,2013年以来の上値抵抗線を突破したことにより相場反転の可能性が出てきた。
- そのうえで,3月の高値を再び上まわってくれば完全に底入れの形だと思っていたが,7月にそれを試すも一筋縄には行かず,300ドルの壁を完全に突破することはできずに再び失速してしまう(画像の6)。
- 8月に200ドルを割るところまで下落するものの(画像の7),このときに1月の安値を割り込まなかったことが大きかった。
- これによって完全に二番底を確認したと判断され,さらに再び上昇して300ドルの壁を突破したことで上昇相場に転じた判断されて,11月の急騰(画像の8)につながったものと思う。
- 上の説明に即していえば,買いポジションを持つべきタイミングは「300ドルの壁を突破した時点」だったことになる。
- その後しばらく三角保ち合い(上値を切り下げ,下値を切り上げている状態)が続いたが,2015年8月からきれいに下値を切り上げ続けており,上にブレイクするのは時間の問題だろうと思われた。
- 今年の4月になって三角保ち合いが煮詰まりきったところでようやく上値抵抗線を突破し,5月下旬に2015年12月の高値(467ドル)を更新すると,2015年11月の高値(502ドル)も一気に突破し,現在は594ドルまで上昇している(画像の9)。
- ただ,半年間も続いた三角保ち合いをブレイクして高値更新となれば,うっぷんを晴らすかのように出来高が急増してもよいように思うが,これが一向に増えないことに不自然さを感じてしまう。
- ちなみに私はMACD重視なのだが,上の画像では緑色の線がMACD,赤色の線がシグナルで,2015年2月ころゴールデンクロスしていることが分かる(画像のa)。これを信じて買いポジションをとっていれば,現在までの上昇相場をほとんどまるまる取れたことになる。
- 5月下旬の急騰で2015年11~12月の高値を更新したことにより,上昇相場の継続が確認された。MACDも今年の1月にデッドクロスしていたが,直近で再びゴールデンクロスしている(画像のb)。
- 現在のビットコイン相場は上値も下値も切り上げ続ける完全な上昇相場で,大局ではまだまだ上昇は続きそうに思う。次の節目は2014年6月の高値(画像の2)である683ドルだろう。
(つづく)
2016年6月9日木曜日
ビットコイン取引についての雑感(その2)
- ほかにビットコイン取引がお勧めできない理由としては流動性が低いことがある。おそらく投資金額が全般的に少ないのだと思うが,個々のオーダーの金額が小さく,ある程度まとまったお金を投資しようとすると難儀する。
- もっとも,bitFlyerFX の出来高は運用開始のころと比べると予想以上に増えており,私くらいの投資金額であれば,注文がはけずにストレスがたまるといったことはほとんどなかった。
- ただこの bitFlyerFX は何ともよく分からない仕組みの取引で,少なくとも私が知る「FX」とは別物だし,それがなにかと聞かれても「FXとは別のなにか」としか答えようがない。
- というのは第一に,FXは一般に相対取引であり,投資家が売ったり買ったりした場合の取引相手はFX業者なのだが,bitFlyerFX は投資家どうしで取引をする市場取引だ。ビットコインではカバー取引ができないので,外国為替と同じようなFXは不可能なんだろう。
- まあ,それはそれでもよいのだけれど,ならばスワップポイントが売りも買いもマイナスというのはどういうことかと。そのスワップポイントを受け取っているのは誰なのかと。
- スワップポイントは,売った通貨と買った通貨の金利差を精算するものだから,金利の安い通貨を買った者が,金利の高い通貨を買った相手に支払うべきものだ。
- にも関わらず,スワップポイントが売りも買いもマイナス(要するに,売り手も買い手も金利を支払う)ということは,それが本当にスワップポイントならば,取引所がくすねているということであって,実態はスワップポイントではないだろう。
- これは実質的に「利息」であり,bitFlyerFX は取引所からお金やビットコインを借りて売り買いをしているというのが実態で,FXというよりは「信用取引」と呼ぶべきだろう。
- 取引所にも儲けが必要だから利息を取るのはいっこうにかまわないと思うが,「スワップ」(交換)の要素は何もないのだから,これをスワップポイントと称して,なんとなくごまかすようなやり方はいかがなものだろうか。
- ついでに言わせてもらうと,投資家が取引所に金利をいくら支払ったのかを明らかにするのは当然のことであって,きちんと取引履歴に明示していただきたい。支払った金利が正確に分からないと税金の計算ができない。
- 第二に,FXは一般に外部から為替レートの配信を受けているから,FX投資家が売買を成立させてもそれによって為替レートが変動することはない。もちろん,カバー取引によって間接的な影響が及ぶことはあるのかもしれないが,FX業者がカバー取引をやっているとは限らない。
- これに対して,bitFlyerFX は為替レートの配信を受けているわけではなく,ザラバ寄せで取引価格を決めているため,投資家の売り買いによって直接的に為替レートが変動する。
- この仕組みでは不都合な場合があるのではないだろうか。
- というのは,bitFlyerFX にも強制ロスカットの仕組みが存在するが,相場が大幅に変動して強制ロスカットが発動し,建玉が成行決済されると,その成行決済によってさらに相場が変動してしまう。
- そうすると,強制ロスカットが別の強制ロスカットを誘発し,際限なく連続して強制ロスカットが発生する事態が生じうるのではないだろうか。もしそうならば,他の取引形態よりも価格変動が増幅されがちで,投資家はより大きなリスクを負っていることになる。
- 大口投資家が結託し,1円で買い注文を入れたうえで大量の売り注文を出し,すべての買い建玉を強制ロスカットさせて1円で取引を成立させるなんていう攻撃が可能なんじゃないかと思ってしまうのだが。
- なんか悪口ばかりになってしまったが,私は正直なところ bitFlyerFX のことが嫌いではない。ビットコインを普及させるためにも,もっと取引が活発になって,もっと出来高が増えることを願っている。
(つづく)
2016年6月6日月曜日
ビットコイン取引についての雑感(その1)
- 目下のところ私にとって投資の主戦場はFXなのだが,相場観として当面は円安トレンドを見込んでおり(月足のドル円チャートでMACDがクロスするくらいまでは),アメリカの追加利上げも年末まではないだろうと踏んでいた。
- それで,5月6日の雇用統計が予想を下回ったのを確認してドル売りポジションをとったところ,予想外にドル安に振れてしまったため,FXはしばらくお休みすることにして以前から関心があった BitflyerFX に挑戦してみることにした。
- そうしたところ,先週末の雇用統計でまたまた予想外のドル高となり,週明けからFXに復帰することにしたので,ちょうど1か月間にわたって BitflyerFX をやってみた感想などを書きます。
- まず,FX投資家がビットコイン取引に乗り換えるメリットがあるというと,現状ではないと断言してよいと思う。
- その理由は,まず何よりも税金面で圧倒的に不利だという一言につきる。
- というのは,国内FXは申告分離課税なので,どれだけ稼いでも所得税は一律20パーセントで済むが,ビットコイン取引の利益は総合課税であって給与所得や事業所得などと合算して累進課税となり,最高税率は45パーセントにもなる。
- ビットコイン取引などで1000万円を超えるような利益を得てしまった方は,今のうちから所得税がどれくらいになるかを計算し,計画的に円貨をプールしておかないと大変なことになる。
- また損失が出た場合にも,国内FXであれば翌年以降に損失を繰り越すことができるが,ビットコイン取引では損失を繰り越すことも,損益通算(損失を他の所得と相殺する)することもできない。
- 申告分離課税は本当にありがたい仕組みであり,これは海外FXにも言えることだが,ビットコイン取引についても,申告分離課税のメリットを手放してまで乗り換える魅力はないように思う。
- ちなみに,申告をせずに税金をごまかそうなどとは考えない方がよいと思う。
- ごく普通のサラリーマンの方々は税務署が来るなんて都市伝説だろうくらいに思うのかもしれないが,日常的に自己申告で税金を納めている人(自営業者や法人の経営者)にとっては,税務調査は特別に珍しいものではないし,私自身も税務調査を受けたことはある。
- 税務署は,下調べをしたうえで来るときには来るので,甘く見ない方がよい。そして,仮想通貨圏の広がりに関心をよせているのは税務署も同じだろう。
- ここから先は想像も入っているのだが,税務署は毎年同じような調査を同じようにやっているのではなく,その時々のテーマを重点的に調査しているように思う。その意味で仮想通貨法制のできた今年などは特に要注意ではないだろうか。
- マイナンバー制度のおかげで証券会社やFX業者に対する調査は容易になるので,制度の適用がないビットコイン取引所に余剰人員をまわすという展開もありうるかもしれない。
- 彼らは国家権力なので,民間の感覚ではちょっと考えられないような調査ができてしまう。税務署が照会をすれば,ビットコイン取引所は顧客データも取引履歴もすべてのデータを躊躇なく開示するだろう。個人情報保護とかそういうレベル問題ではない。
- それを解析され,ある日突然に税務署からお問い合わせが来るというのは現実的にありうる話だと思う。
- 結果的に納税を免れたとしても,いつ税務署が来るかとびくびく怯えてすごすなどというのは,まっとうな社会人のすることではないだろう。
(つづく)
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